泌尿器科とは

泌尿器科は、腎臓や尿管、膀胱など、尿の産生から排尿までの器官に生じる病気を診断し、必要な治療を行う診療科です。

主な症状

主な症状

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泌尿器科の主な疾患

泌尿器の悪性腫瘍

悪性腫瘍は、全身のあらゆる臓器に発生します。泌尿器も例外ではありません。前立腺、腎細胞、腎盂、尿管、膀胱、精巣などに生じ、進行すると命に関わります。多くの方がご承知のことと思いますが、がんは早期発見し、早期に適切な治療を行うことが大切です。初期段階では目立った症状が出ないことも多いので、定期的に人間ドックなどを受け、泌尿器の状態を確認するようにしましょう。

前立腺がん

前立腺に発生するがんです。尿道から離れた前立腺の周辺部にできることが多いため、早期では目立った自覚症状が少なく、がんが進行してしまうこともあります。もっとも、早期でもPSAという腫瘍マーカーが上昇するので、検診で見つけることが可能です。

前立腺がんの治療方法としては、手術、放射線治療、ホルモン療法があります。この他、特別な治療を行わずに経過観察するPSA監視療法(待機療法)が選択されることもあります。

これらの治療を考える際には、診断時のPSA値と腫瘍の悪性度(グリーソンスコア)、リスク分析、患者さまの年齢と期待余命、病気に対する考え方がポイントとなります。

腎がん

腎臓の上皮細胞にできる腎がんは、初期の段階では自覚症状があまり見られません。しかし、直径5㎝を超える頃には、腹部の疼痛、血尿、腹部のしこりなどの徴候が見られるようになります。このような症状が見られたときは、すぐに泌尿器科にて精密検査を受けるべきです。治療に関しては、放射線や抗がん剤などの効果が限定的とされているため、主に手術によって主要部分を切除します。

膀胱がん

膀胱がんは、尿路の各臓器の中でも発生頻度が高いと言われており、特に60~70歳代の男性で多く見られます。初期の段階では、腎盂がんなどと同じように、痛みなどを伴わない血尿が出るケースが多いのですが、進行すると水腎症や排尿痛、排尿困難などの症状が強まります。

治療に関しては、進行度を踏まえて手術、化学療法、放射線療法などを選択します。がん組織が粘膜表面に留まっているときは、尿道から膀胱鏡を挿入して腫瘍部を電気メスで切除する経尿道的膀胱腫瘍切除術を行います。がんが筋層にまで達しているときは、膀胱全摘除術が中心となります。なお、合併症のリスクなどによって手術が難しいケースでは、放射線治療が選択されます。

前立腺肥大症

前立腺肥大症は、男性に特有の臓器である前立腺のサイズが大きくなってしまう疾患です。尿道が圧迫されるため、尿が出にくくなるなどの排尿トラブルが起こりやすくなります。前立腺が肥大化する原因としては、男性ホルモンの変化、生活習慣病などが関係していると考えられていますが、はっきりと解明された訳ではありません。

日本人男性の場合、年齢が高くなるにつれて前立腺の内腺の細胞が増加・肥大化するリスクが高まると言われています。実際、加齢とともに罹患率は増加しており、70歳以上になると8割近くの男性が前立腺肥大症になると言われています。もっとも、その全てで治療が必要となるわけではありません。適当な時期に泌尿器科の専門医院を受診し、治療の必要性をご確認ください。

膀胱炎

膀胱炎は、女性の方に多く見られる疾患です。男性と女性では膀胱や生殖器の位置が異なるのですが、女性の場合は外陰部にいる細菌が尿道から膀胱粘膜に侵入しやすい構造のため、膀胱の炎症が起こりやすいのです。

膀胱内に細菌が入ってきても、通常は感染防御機能が働き、膀胱炎にはかかりません。しかし、疲れやストレスによって免疫力が低下していたり、風邪などで体調を崩していたり、尿量が不足していったり、不潔な性行為などの要因が重なると、膀胱炎のリスクが高まります。

主な症状としては、排尿痛、尿の白濁化、強い尿臭などがあります。治療に関しては、主に抗生剤を3~5日間ほど内服します。これによって症状が徐々に良くなり治癒します。

性感染症

性感染症とは、性的な行為によって感染する疾患の総称です。ここでいう行為には、性交だけでなく、オーラルセックスなど幅広い性行為(粘膜の接触)を含みます。以前は性風俗店などで感染するケースが多かったのですが、最近は、不特定多数のセックスパートナーとの性交渉やセックスの多様化などにより、ごく一般的に広まっています。

代表的な性感染症は、淋病、クラミジア感染症、性器ヘルペス、尖圭コンジローマ、毛ジラミ症、梅毒、エイズなどです。思い当たる方や、パートナーが性感染症に罹患している方は、お早めに検査を受け、適切な治療を受けてください。